エビの死因 大量死を起こさないために |
エビ飼育には、気を使わなければならないことが幾つかあります。
繊細さに加えて、群れで飼育するので同時にバタバタと倒れて全滅するケースがあり、
多くのエビ飼いはコレを大変恐れていますね。
原因や症状について知り、悲劇を起こさないようにしましょう。目次
主な死亡原因
エビのダメージシステム
死に到るまでの症状・経過
傾向と対策
塩素・亜硝酸・アンモニアなどに対するショック
水質・水温の急変
水温の上昇・それに伴う酸欠
CO2中毒
毒物・農薬などの混入
農薬・殺虫剤・10円・銅・カリウムの過剰投与・得体の知れないアクア用品
水道工事について
疫病の噂
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主な死亡原因 色々とありますが、飼育に慣れるまでの辛抱・・。 |
塩素・亜硝酸・アンモニアなどに対するショック
水質・水温の急変
水温の上昇・それに伴う酸欠
CO2中毒
毒物・農薬などの混入
疫病? |
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魚であっても、上記の死因は充分当てはまりますが、
エビは魚よりも繊細であるため、より一層タブーに対する扱いが慎重になります。
後述しますが、ほとんどの死因は一番上の塩素・亜硝酸・アンモニアなどに対するショックです。
飼育に慣れてくると、下手な実験や無理な管理をしなくなるので、自然と対応も楽になります。
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エビのダメージシステム 魚と勝手が違うので、エビは難しいなどと言われます。 |
エビは全般的に、ダメージが蓄積すると時間差で死にます。
即効性のある死亡原因を除いてこの点を考慮するべきです。
魚の場合は、環境変化や毒に対してすぐに反応を示しますが、
魚に比べて繊細なエビは、魚なら何でもない範囲のタブーを犯すと、
数日間の潜伏期間を経て死亡します。
原因不明の死が多いのはこのせいです。
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即効性のある死因の場合、エビは暴れまわります。
魚の病気のように、目で確認してからの対応が出来る可能性は低く、
やってはいけない事を普段から頭に入れて飼育に望む必要があります。
死骸が複数確認された頃には手遅れの場合が多いです。
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死亡に到るまでの症状・経過 エビがメッセージを出していませんか? |
激しく暴れまわる。
塩素を抜かずに水換えをした場合、体力のある状態で環境悪化を訴えます。
その後落ち着いたとしても、ダメージ蓄積で死んだりします。
抱卵の舞と間違えやすいのですが、その場合はメスが暴れません。
あまり動かなくなる。手も動かさない。
元気がなくなっています。原因は様々ですが、ダメージの蓄積が考えられます。
エサにあまり群れなくなる。
動かなくなるのと同様、エサの時間にもエサに群れなくなります。
水槽の上の方に固まる。水槽から逃げ出そうとする。
環境の悪化、変化を感じています。ただの驚きから来る場合もありますが、
大体の場合は結構ヤバイ状況です。
色が悪くなる。白濁する。
高温や酸欠など、ジワジワとダメージが蓄積した結果です。
チェリーやインドのオス個体には、健康な白濁個体も現れますが、
最初から濁っているわけではなくて、何らかのキッカケがあります。
また、老衰によって色が悪くなることもあります。
脱皮不良
脱皮に失敗して、身動きが取れなくなり死にます。
頭や足が抜けなかったりして、体力消耗で死にます。
水換えのしすぎなど、環境変化や必須栄養素が足りない場合に起こります。
突然バタバタ倒れる。
健康だったはずのエビが突然バタバタ倒れていきます。 |
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一例
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←水槽上部に集まる例
暑くなったり、水質が変化、悪化すると見られます。
この写真はビックリしているだけでした。 |
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←白濁死です。
筋肉が死んでいくらしく、段々動けなくなります。
高温にさらされると多く発生します。 |
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←色が悪くなっています。
この個体は老衰したメスです。 |
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傾向と対策 |
塩素・亜硝酸・アンモニアなどに対するショック |
塩素
カルキ抜きをしないで水を足したときに起こります。必ずカルキ抜きをしましょう。
季節によって塩素の量も変わるので、確実に中和できるようにしましょう。
漂白したガラス器具等も、漂白剤が確実に抜けるまでハイポで中和です。
このダメージは、数日後に現れることも多いです。
出る症状・・暴れまわる。水槽から逃げたがる。突然バタバタ倒れる。アンモニア・亜硝酸の蓄積
アンモニアや亜硝酸が検出されるということは、濾過が働いていないということです。
濾過の増強や、生体数を減らす必要があります。
緊急回避方法は、水換えに頼ることになりますが、塩素や環境急変に注意です。
疫病や毒物のせいにされることが多いのですが、原因が分かりにくい死亡はこの場合がほとんどです。
ある意味、アクアリウムと切っても切れない一番身近な毒ですから、灯台下暗しといった具合でしょうか。
水合わせや隔離中にアンモニアが蓄積して死ぬ場合もあります。注意です。
出る症状・・全てです。
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勘に頼るアクアリストは多いです。かくいう私も試薬を全く使わないのですが。
ある程度の勘と力をつけてきたアクアリストは、多かれ少なかれ自信過剰になります。
特にレイアウトへの探究心などはプライドと自信の表れです。
エビの大量死が起こると、プライドの高いアクアリストは、
「自分の飼育技術に問題はなかった」と、現実逃避に走ります。
そこでネット検索すると、毒や病気による大量死の報告などを発見して
自分の中での落とし所に逃げ込み、疫病や毒のせいにしたがります。
ケースは違いますが、私もそうでした。
大量死の経験が初めての時点で、それは対応する経験値がなかったということです。
初めてではない場合は、以前の経験が生かされていない証拠です。
そういうときには冷静になって、一番初歩の段階に立ち返りましょう。
同じ過ちを繰り返さないために。
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水質・水温の急変 |
水温の急変
水温の「急変」は、主に水換え時に起こります。水温が急変すると、エビは耐えられません。
水換え時の他に、夏場に水槽の冷却を氷のペットボトルなどに頼るのも危険です。
たとえ帰ってきたときの水温が30度でも、氷のペットボトルで急冷するのは非常に危険です。
急冷と呼ばれる時間は、5〜6時間をも含みます。
実際それくらいで試しても毎日続けるとエビは次々と死にました。
生き物の購入時にやる水合わせも、それくらい無理を強いっているということです。
氷を使うのではなく、たとえ常に28℃でもファンの方がずっとマシです。
出る症状・・暴れる。水槽から逃げ出そうとする。白濁。突然倒れる。水質の急変
繊細なエビは、当然水質の急変には耐えられません。
エビは水質が変わると脱皮をしますが、適正周期でないと脱皮不良を起こします。
水合わせ、大換水など、危険は多いです。
下手な水で換水を繰り返すと、エビは次々に死んでしまいます。
水質はpHだけに支配されているだけではなく、「濃さ」が重要です。
例えば濾過が強力な小型水槽があるとして、その中にエビを大量に飼います。
一週間に一回水換えをするときに、「汚れているから」と、大量に換水するのは非常に危険です。
水の「濃さ」に大きな差があるからです。この場合は、小さい換水を週2度にするのが正解です。
濾過が強力でも、水の「濃さ」に大きな違いが出ています。
底床掃除の際も、気をつけましょう。
どんな底床でも、中には大量の有機物や有害物質が堆積しています。
エビがいるまま底床をひっくり返すと、水質が激変して死にいたるエビが沢山出ます。
プロホースなど、底床を引っ掻き回さずに重点的に汚れを吸い出せる器具を使いましょう。
私がエビを大量死させたのはこれが原因でした。
出る症状・・脱皮不良・場合によっては全て。
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底床の取り扱いは注意が必要です。
大いなる恩恵をもたらしてくれる代わりに、色々なものを溜め込んでいます。
そこへ人が無茶な力を加えることで、思いもよらぬ災害を起こすことになります。
我々の住む地球とよく似ていますね。
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水温の上昇・それに伴う酸欠 |
水温の上昇 エビは高水温に非常に弱いです。
30℃の水温になると、適切な飼育を行っていても体力を消耗していきます。
夏場は濾過の効率も下がり、水が悪くなりやすいのでその点にも注意です。
水温急変でも触れましたが、絶対に氷のペットボトルでの冷却はやめてください。
たとえ28〜29℃であっても、対策を取れば安定してる分マシです。
夏季の水槽の置き場所を変える、少量を分けて換水、
ファンやクーラーでの常時冷却、エアレーションなどが有効です。
出る症状・・突然バタバタ倒れる(鬼門です。夏場はエビのダメージが蓄積されます)副次的に全て。
高温に伴う酸欠
水槽の水が高温になると、水中には酸素が溶け込みにくくなります。
エビはヘモシアニンで酸素を輸送するため呼吸の効率が悪く、鼻上げなどもできません。
酸素が少ない水に晒されると、水面近くに逃げ出して難をしのごうとします。
夏場の酸素欠乏は鬼門です。魚さえも危険に晒されるので、常時エアレーションを推奨します。
水草水槽の場合は、クーラー、ファンの導入、昼夜逆転運転などをして、
高温時にエアレーションをしていないことがないようにして下さい。
出る症状・・脱走(苦しいですからね・・)・副次的に全て
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コレが一番ブリーダー泣かせなんですよね。
夏を迎える前には必ず対策をしましょう。じゃなきゃ全滅確定コースです。
水温計も、最高水温と最低水温を記憶できる物を用意したほうがいいです。
機器の故障も考えられますので、点検、予備を用意しておきましょう。
季節的にも、此処のところ温暖化が激しいです。
アクアリストの夏は5月から10月までだと思っておきましょう。
油断してインドグリーンとラミノーズテトラを沢山失いました。
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CO2中毒 |
CO2中毒
CO2中毒は、ボンベ式のCO2添加装置を使用している際に起こるものと考えてよいです。
あまりにも添加量が多い場合、純度の高いCO2を供給するボンベ式は、プチ炭酸水を生み出します。
そのような環境ではガス湯沸かし器同様CO2中毒になります。(COではありませんが同様ですね)
醗酵式であっても、水草水槽では夜間は水草は酸素を消費します。
醗酵式でCO2中毒を起こす可能性は少ないものの、夜間のエアレーションを推奨します。
対策は、早急な激しいエアレーションです。水面を激しく動かしCO2を抜きます。出る症状・・脱走・突然バタバタ倒れる。
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夏場に起こったらまず酸欠なのですが、油断はいけません。
夏場に静かなエアレーションをした場合、
ボンベの設定を誤ると、それほどCO2は抜けないのです。
酸素とCO2の共存が裏目に出て、原因究明が遅れることのないよう注意しましょう。
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毒物・農薬などの混入 |
農薬
得体の知れない野菜などをあげると起こりえます。
農薬は節足動物のエビにも、計り知れないダメージです。虫です。虫みたいなもんなんです。
店頭で無農薬を謳っていても、実は低農薬なんて事はザラにありますから、
信用できる筋の野菜か、自分で栽培した野菜をあげましょう。
タンポポなどを茹でてあげる方も居ますが、運動場などは除草剤を撒いている事もあります。
また、水草にも農薬が残留している場合が多いです。
激安パック売りのアヌビアス・ナナなんてビンゴです。よく洗っても入れません。
つうか買いません。必ず水草を買う前に何処の馬の骨か店員に確認しましょう。
水草は導入前によく洗浄!!
出る症状・・暴れる・脱皮・動かなくなる・突然バタバタ逝く
殺虫剤
エビの居る部屋では、殺虫剤は使えません。エビの居る部屋ではハエタタキで戦いましょう。
バルサンなんぞ、部屋を越えて全滅です。
かつみさゆりがクワガタブリードに手を出して、違う部屋で使ったバルサンでクワガタ全滅したそうですよ。
ビニール被せたとあなどるなかれ!ビニールかけても全滅の例もありますぞ!!
出る症状・・錐揉み状態で暴れる→逆さまに落下→即死
蚊取りリキッドについて
蚊取りリキッドは死亡例あります。
師匠のRYOさんは蚊取りリキッドを油性から水性に変えた際に、
ひと夏でCRS400匹中、300匹失っています。レッドチェリーは無事だったそうですが・・。
WEB上で、蚊取りリキッド大丈夫という説がありますが、
信じるにたらせる説得力のある実験が行われたとしても、
伝言ゲームで内容が変貌していることは良くあることです。結局は虫殺しなんですね。
今回のポイントは『水性』はヤヴァイって事です。
出る症状・・使ったことないから分かりませんが、師匠の例からいくと突然バタバタですね。
10円玉・銅
理屈はあまり知りませんが、ヘモシアニンと深い関わりがあるようです。
ムシ寄らずなどにも使われ、殺菌作用の高い銅ですが、エビ水槽には使えません。
プラナリア駆除の特効薬が銅であることは、アクアリストのジレンマですが、絶対にダメです。
クロームメッキの銅なんかも出回っているので注意しましょう。
子供に10円玉やら何やら投げ込まれないように注意です。
出る症状・・実験しましたが数時間で倒れました。水槽だったら・・怖くて想像できない。
カリウムの過剰投与
あんまりないとは思うのですが・・ADAのブライティKにも説明がありますね。
実験してみましたが、コレは確かに害があります。
でも、本当にメチャクチャ入れなければ大丈夫です。
200mlに飽和液5日分、5ml?入れて異常確認でした。バカしかやらないと思います。
出る症状・・暴れる・突然倒れる。
得体の知れないアクア用品
防コケ剤ってどう考えてもやばいでしょう・・・。
真のアクアリストなら、管理からコケが生えないようにして下さい。
その他にも、「これ一本で」だの「水換え不要」だの謳っている商品に
手を出しすぎるのは危険です。大概は本来必要ない物です。
いつか地雷踏みます。
魚病薬メチレンブルーは平気でした。真っ青になってエビが見えなくても平気でした。
でも、水草水槽には使えません。水草&バクテリア全滅です。
これに限らず、薬や添加剤はよく性質を確かめて使用しましょう。
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水道工事について |
水道工事の噂 水道工事もまた鬼門ですね。
老舗サイトの管理人さんが工事による大量死を体験しているので、その情報が何処までも浸透しています。
最凶のカードであるため、大量死が起こると誰もがコレを疑います。
で、亜硝酸でも触れたように、プライドが邪魔して「水道工事だ!」となっています。
でもね・・・・
マトモな市町村なら水道工事、清掃の広報は絶対ありますから!!!
そうです。当たり前なんです。ネット上で水道工事疑ってる情報の多くが、
これについて触れていない、つまり言い訳全開なのです。
中には本当の情報もあります。工事や洗浄に使われる薬品なんて有害に決まってます。
対策は当然出来ますよ。貯め水する時間なんていくらでもあるんです。
これは最凶のカードなんですから、それくらいの対策できる状況は整えましょう。
大体1〜2週間前に、広報がポストに投函されます。その間に準備です。
でも私には2週間の猶予期間が長すぎました。すっかり忘れていたのです・・。
ちなみにその時は本管清掃でした。気付いたのは工事1日後・・ビビリましたとも・・。
でも、家庭用浄水器を通した水で換水したところ、全然問題なかったです。
万が一に備えて、(万が一じゃなくても)浄水器は持っておきたいですね。
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疫病の噂 |
疫病についての噂
疫病ってのも、エビブリードの鬼門ですね。
キッカケや症状の掴みづらいエビ飼育には、これもまたつき物です。
実際にエビを殺す病気もあります。いつかのクルマエビ養殖場テロみたいに。
大手エビサイト管理人様も「原因が病気と思われる症状が確かにある」とおっしゃっています。
私よりもエビに情熱を注いでいる方がそういうのですから、間違いなく存在はしているのでしょう。
でも、コレも都市伝説に近いものがあります。
原因不明でエビが大量死した例があるとして、それが例えばビギナーである場合、
いくらでも疑う余地がある状況ながら、調べる能力がないので結論は『疫病だ!!』となります。
そんな情報が氾濫しまくって、ブリーダーを過剰に脅迫観念に駆らせています。
疫病だと確信できる場合があるとしたら、発症、死亡したエビ全てに視覚的におかしい点があるときだけです。
それ以外は確信に到るに足りえません。
顕微鏡でエビを見て、病原体が見つけられる環境があるなら別ですが・・。
本当に疫病だとしたら、水槽ひっくり返してリセットして、
器具熱湯or漂白洗浄。徹底的にやり尽くすしかないですね。
インドグリーンにはバーンスポットのような黒い点が見られるときがありますが、
病気ではないようです。普通に成長して、脱皮すると消えます。外傷かもしれません。
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かなり長くなりましたが、以上で死因についてのレポートを終了します。
ビギナーの方は日頃から注意して、
既にアクアリストの方は初心に戻って、エビの健康保持に努めましょう。
エビのピンチに出会ったら、一度落ち着いて、やってはいけない事を確認です。
タブーコンボで追い討ちかけないように!!
以上でエビの死因についてを終了します。 |
2007/02/24修正っていうか全部書き直し |
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