まずは濾過槽を作る。注意:マジよく読め!!
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まずはオーバーフローの最大の魅力の源、濾過槽を作ります。
これの製作から取り掛かるのには理由があります。
濾過槽の区切りとなるプラ板をバスボンドで貼り付けていくのですが、
これの乾燥やらアク抜きにやたら時間がかかるのです。
作業を並行するに当たっても、まずバスボンドの状態を気にかけて進めましょう。 |
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材料 水槽
今回は金魚ファミリーです。
別に水圧に耐えられる容器ならなんでもいいですが、
なるべく大容量のものが好ましいでしょう。
濾過容積だけの問題ではなく、逃げを作るためです。
プラ板
今回はエンビ板です。アクリルでもいいですが高いです。
アクリルの綺麗な濾過槽を作るのではないなら問題ナシです。
バスボンド
水槽用の物が売られています。
ヘラやマスキングテープとセットです。
乾くと結構強力です。
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設計 |
1.壁 |
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今回は濾過槽が小さいので、壁は二枚で製作しました。
『設計って言っても大した問題じゃないだろ?』というあなた、これは大問題に直結します。濾過槽の運転中の総水量は、二枚目の壁の高さがどれだけかという
ところになるのですが、コレを見誤ると運転してからの問題に直結します。
普通のオーバーフローでは『送っただけ水が落ちる』で済むのですが、サイフォン式は違います。
『サイフォンが死ぬ。またはポンプが死ぬ。』
というケースを予想しないと、とんでもないことになります。
二枚目の壁が高すぎると、通常時には水量が稼げますが、
ポンプ停止時にはサイフォンが止まる(死ぬではない)までの間、水が濾過槽に流れ続けます。
一応、サイフォンユニットの製作で対策を記述します。
送水管製作で後述しますが、ポンプ側の送水管も設計を誤るとポンプが停止した際に
とんでもない猛威を振るうことになりますから注意が必要です。
ですから、最低でもサイフォンが停止するまで流れ続ける水を受け止めるだけの逃げを
作れる程度の壁を製作する必要があります。
低すぎれば濾過容積を稼げず、高すぎると事故を招くシビアな設計になります。
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2.ポンプ室 |
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↑ポンプ室が広い場合 |
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↑区切りが甘い場合 |
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ポンプ室の容積は、二枚目の壁の高さの他に、
壁までの距離で調整することが出来ます。
ポンプ室にはポンプだけではなく、ヒーターや水温計のセンサーなどの
様々な機器を入れることが出来るのですが、一つ注意があります。『なるべく小さく作れ!!』
これは、サイフォンが死んだ際への安全策です。
大げさに言っているのではなく、マジで深刻な問題に直結します。
濾過槽が大きくても、機器室の他にポンプ室を作って正解です。
サイフォンが死んだ場合、濾過槽内の水は
ポンプが吸い上げられるだけの水を送り続けます。
これが起こると鑑賞水槽からは水が流れず、
濾過槽からは延々水が流れて鑑賞水槽から水が溢れます。
それに比べれば、ポンプ室の水がすぐに無くなってポンプが壊れたほうがマシです。
ポンプの性能に見合った流量の水が起動に支障の無い程度に流れればいいのです。
『濾材が区切れればいいんだろ?』と、
二枚目の壁をパンチングボードやメッシュで作るなど言語道断です。止めましょう。
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このように、ただ区切ってあるだけのように見える濾過槽にも、
色々と役割があることをお忘れなきように。サイフォン式の製作は自然の摂理との戦いです。
実物を作るとこれ以外にも思いがけない事が起こることもありえます。
では、工作に移りましょう。
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工作 |
1.プラ板を切る 塩ビ板を含め、プラスティックを切るにはアクリルカッターが便利です。
アクリルカッターは切れ目を入れながら削ぐ道具なのですが、
持っていない場合は普通のカッターで代用が出来ます。
切れ目を入れてからカッターの背でガリガリやっていくという方法です。
本来の使い方とは違うので、取り扱いに注意です。
ある程度深く切れ目が入ったら、思い切って折りますが、
切れ目の端っこは切込みが甘くなりがちです。
此処を甘くすると変な割れ方をするので注意しましょう。
切れたら、切れ目をヤスリで慣らします。
カッターでは切れ込んでしまうので、ヤスリで慣らしてカッターでクズを削ぐといいでしょう。
ポイント
寸法に要注意です。バスボンドの性質なのですが、
固まるまでは潤滑油のように滑ります。
濾過槽に当ててみて、少しでも干渉するようであれば、
徹底的に削って若干ユルユルになるようにしましょう。
でないと干渉した部分がバネになってズレまくります。
これをやらないと大変なことに・・・・。
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2.マスキングする |
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セットで付いていたマスキングテープを貼り付けます。
ボンドの塗布直後にマスキングを剥がすことになるので、
剥がし方まで決めておきます。
私の場合はなるべく接着面を動かさないように、
テープを奥から剥がせるように取っ手をつけました。
ポイント
この作業に入る前に、貼り付ける順番をシミュレーションしましょう。
バスボンドは固まった後は強力ですが、塗布直後はとても脆いです。
確実に一箇所ずつ接着するためには、
接着面以外の箇所をガムテープなどで固定しておく必要があります。
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3.ボンド塗布 |
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かるーくバスボンドを乗せていって、付属のヘラで慣らしていきます。
指に付かないように注意しましょう。結構しつこいです。ポイント
この後、すぐにマスキングを剥がすのですが、
その前に貼り付けた両面の状態を確認しましょう。
完全に固定できていない状態なので、
反対側に干渉が出ていないか確認します。
アロンアルファでくっつけてから作業してもいいかも。
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一番最初の接着面。慣れると段々マシになります。
固定が全部済んで乾燥させたら、
水を入れてバスボンドのアク抜きをして完成です。 |
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完成すると、濾材はもちろん
ヒーターから温度計のセンサー、エアレーションから
果ては醗酵式CO2のペットボトル保温まで、
容量の大きな濾過槽が手に入ります。 |
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